レヴェナント

 

 レヴェナントを観た。

凄まじい映像美の連続。果てのない緑。世界を覆い尽くす白。絶えず流れる水。

人と人の激しい争い、時に獣にも圧倒される。

目の前に息づく生が一瞬の隙に消えていく。死の神の気まぐれで刈りとられていく。

おかげで終始生きた心地はしなかった。

けれど、画面を埋めるのは生への渇望だ。生きたい。生きたい。この世界に留まりたいと願う意志を通した世界だ。

撮影監督ルベツキの映像はまるで高熱にうなされる子供から見た世界のようだった。

酷く熱っぽく、朦朧としているけれど純心なまなざし。ありのままを見つめようとする眼。

ディカプリオが草や生肉を咀嚼していく。一歩一歩確実に歩みを進めていく。

映像が共鳴していく。美しかった。

親と子。白人とネイティブインディアン。アメリカとフランス。人と獣。人と自然。

複雑に二項対立を用意する本作はそれでも実はそこに賛美も痛罵もなく、一人の男がいるだけだった。

素晴らしい映画。